【脚長差】家の中では裸足ですか?屋内の脚長差対策に「補高ルームシューズ」が必要な理由|義肢装具士解説
- 2月11日
- 読了時間: 7分
更新日:4 日前
「外に出る時は補高した靴を履いているのに、腰の痛みが取れない」
「家に帰って靴を脱ぐと、体が傾く感じがして疲れる」
もしかしたらその悩み、あなたが脚長差(脚の長さの左右差)をお持ちなら
「家の中での過ごし方」に原因があるかもしれません。
外出用の靴にはインソールや補高加工を入念に行っている方でも、一歩家に入ると「裸足」や「ペラペラのスリッパ」で過ごしていませんか? 実はこれ、「朝昼晩飲むべき薬を、朝しか飲んでいない」のと同じ状態なのです。
今回は、現役の義肢装具士が、意外と知られていない「家の中での活動量」の真実と、屋内で脚長差を補正すべき理由について解説します。
「家の中では動かない」は大間違い!屋内活動量の真実
多くの方が「家の中では座っている時間が長いから、補正しなくても大丈夫」と考えがちです。しかし、統計データを見るとその認識が間違いであることがわかります。そもそも屋内での活動量はどれくらいあるのでしょうか?
① 家事労働は「長時間の立ち仕事・歩行」である
総務省のデータなどに基づくと、家事は座って行うものではなく、断続的な立位や歩行を伴う身体活動です。
家事関連時間: 日本の女性の家事関連時間(炊事、洗濯、掃除、買い物など)は、1日あたり平均で約3時間24分に達します。
動作の特性: キッチンでの立位作業、掃除機がけに伴う歩行、洗濯物を干す動作などは、身体に複合的な負荷をかける運動です。これらは主に「屋内(靴を脱いだ状態)」で行われています。
② 高齢になるほど「屋内歩行」の割合が増える
年齢を重ねるにつれて、外出頻度が減る一方で、屋内での活動が生活の主体となっていきます。
在宅時間の長さ: 70歳以上の高齢者では、1日の生活時間の80%以上を自宅(屋内)で過ごすケースが多くなります。
屋内歩数の割合: 高齢者の1日の総歩数のうち、30%〜50%(場合によってはそれ以上)は屋内で発生しているという研究データがあります。特に、身体機能が低下した方ほど、総歩数に占める屋内歩行の割合が高くなる傾向があります。
具体的な歩数: 70代以上の高齢者では、屋内で1日に約1,600〜2,600歩、月間では約5万〜8万歩ものステップを踏んでいると推計されます。
「家の中だから」と油断して脚長差を放置することは、1日の活動の約半分において関節に負担をかけ続けていることになるのです。
屋内で補正を行う3つのメリット
日本のように屋内で靴を脱ぐ文化圏では、外出時のみ補正を行っても、帰宅して裸足になった途端に脚長差が再発し、治療効果が断続的になってしまいます。これを防ぐ屋内補正には以下の重要なメリットがあります。
① 「治療の断絶」を防ぎ、脳に正しい姿勢を定着させる
外では補正し、家では補正しない。この生活を繰り返すと、脳や神経系は1日のうちに何度も異なる身体バランスに適応しなければなりません。 これを「断続的補正(Intermittent Correction)」と呼び、脳がどちらを正しい基準とすべきか混乱してしまいます。その結果、安定した運動パターンの学習(運動学習)が阻害され、リハビリの効果が減少してしまいます。 家の中でも補正を行うことで、脳が正しい歩行パターンを学習・定着させやすくなります。
② 「隠れた運動負荷」による関節への負担を軽減する
前述した通り、家事労働などの屋内活動は無視できない運動量です。 屋内で補正を行わず、脚長差があるまま家事を続けることは、膝や股関節、腰椎へ「無視できない量の累積的なダメージ」を与え続けることになります。 屋内で補正を行うことで、この「隠れた累積負荷」を取り除き、股関節や膝関節、腰への負担を和らげることが期待できます。
③ 転倒リスクの低減と歩行の安定化
脚長差がある状態で、サポート機能のない一般的なスリッパや裸足で歩くと、短い脚側で重心が沈み込み(ドロップ)、バランスを崩しやすくなります。 また、短い脚を接地させるために無意識に「すり足」になったり、つま先立ちになったりする代償動作は転倒リスクを高めます。 補高機能のついた室内履きを使用することで、左右のバランスが整い、しっかりと足をついて安定して歩けるようになるため、転倒予防につながります。
脚長差は何センチから補正すべき?

脚長差が1cm以上ある場合は、積極的な補正を検討すべきです。 1cm以上の差を放置すると、変形性股関節症など「股関節を痛める原因」になるだけでなく、腰痛の引き金や、歩行バランスの崩れによる疲労増大を招くことが報告されています。 「数センチだから軽度」と妥協するのではなく、体への負担を最小限に抑えるためにも、左右差を5mm以内に収めるような補正を心がけましょう。
脚長差の補正に対する考え方についてはこちらの記事も参考にしてください。
屋内での補正の正解は「室内履きの底上げ」一択です。

屋内での補正の方法は、「屋内履きの靴底を補正し補高を行うこと」です。
そもそも脚長差を補正する方法は、大きく分けて2つあります。 1つは、靴の中に敷く「インソール」での補正。もう1つは、靴底そのものに高さを足す「アウトソール(靴底)」での補正です。
外履きの靴ではインソールが有効ですが、家の中でインソールだけで脚長差を補正することは、現実的ではありません。
理由は単純です。「靴」や「室内履き」を使わずに、足の裏に直接インソールを固定し続ける現実的な方法がないからです。 (※治療用装具として足に固定するホルダーなどは存在しますが、あくまで、一時的な利用を前提としています。日常的にトイレやお風呂のたびにバンドを巻き直すのは非常に手間がかかり、現実的ではありません)
特に日本の屋内生活は、外履きの靴と違い、トイレや脱衣所、畳の上など、頻繁な「脱ぎ履き」が発生します。 そのため、簡単に「脱ぎ履き」できる「サンダルタイプの履物」の靴底自体を加工して補正するのが、日本の生活様式に最も適していると私は考えています。
靴工房マルエの「ケアサンダル」

靴工房マルエでは、オーダーメイドの靴やインソールを設計している専門家として、屋内での活動を支える「ケアサンダル」を販売しています。
調整可能なベルト構造: 甲部分と足首部分を大きく開閉できるため、むくみなどの足の周径変化にも対応し、フィット感をキープします。
オーダーインソール付属: 土踏まず(内側縦アーチ)と横アーチを適度にサポートする形状に設計。足裏の接地面積を広げることで圧力を分散(除圧)し、疲労感や痛みを軽減します。
つまずきにくい設計: つま先部分をあらかじめ少し持ち上げた「トゥスプリング」形状を採用。自然な体重移動で足が前に出るため、すり足気味の方でもカーペットの縁や段差に引っかかりにくく、スムーズな歩行を促します。
自由なカスタマイズが可能

デザイン: 4タイプ、100色以上の本革から選択可能。メンズ・レディース同一価格。
用途: 外履き用・内履き用をお選びいただけます。
加工例:
脚長差を補正する補高
足の変形に対応するベルト延長
ベルトのループ加工等
お体の状態に合わせた最適な加工をご提案させていただきます。 このケアサンダルに補高することによって、脚長差補正と足の裏のケアを屋内で同時に実現することが可能です。
ケアサンダルの詳しい紹介はこちらのページをご確認ください。
まとめ
脚長差は室内も補正する必要があります。 補正した骨盤が元に戻ると、脳が混乱し、運動学習的にも問題が生じます。 また、「家の中だからあまり活動しない」というのは間違いで、家事労働の大半は立ち仕事であり、高齢になればなるほど家の中での活動割合が増えるというデータもあります。
家の中での生活を快適に、そして健康的に過ごすために、ぜひ屋内での足元環境を見直してみてください。
屋外での脚長差の補正方法については以下の記事でもまとめています。
▼まずは気軽に聞いてみたい方へ
手持ちの靴の写真をスマホで撮って送るだけ!「この靴は加工できる?」「いくらくらいかかる?」など、LINEから無料でご相談いただけます。
(※PCでご覧の方は、こちらのQRコードをスマホで読み取ってください)

▼料金や具体的な補正事例を詳しく知りたい方へ
当店の脚長差(LLD)補正のメニュー、料金目安についてはこちらからご覧いただけます。
[靴工房マルエ 脚長差補正専門ページ]
靴工房マルエ 技術監修 / 義肢装具士
現役の義肢装具士(国家資格保持者)。 普段は医療機関にて装具製作に従事しています。「病院や製作所だけでは解決できない『日常の靴』の悩みを解決したい」という想いから、実家の靴工房マルエにて技術監修を行っています。 医療現場の知識と靴屋の技術を掛け合わせ、脚長差(LLD)や足のトラブルに対して、医学知識に基づいた解決策を提案・執筆しています。










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